贄の街 5

 静代は横臥の体勢で躰を『く』の字に曲げた。

 池村は自分の荒い呼吸にハッとする。静代の姿に胸が息苦しくなった。

「膝を抱えてください。もっとお尻が突きでますので」

 静代は従った。豊かなまろみが男の前に位置する。ほっそりした体型だが、臀部の丸みはあの瑞恵に勝るとも劣らない。身体の線が細い分、尻の広がりは大きい。小さなパンティがパンと張った。艶めかしい姿に池村は唾を飲んだ。

 静代の太腿と腰の下に両手を差し入れ、ベッドの縁に臀部がはみだすまで引きずった。「このくらいかな」と独りごち、唾液があらかた乾いたペニスを手に持った。萎れている先端をパンティの上からその中心に宛がった。静代の括れた腰に手を置き、己の腰を前後左右に動かした。

「うん、ちょうどいい高さになっている」

 男は立ったまま静代とセックスができる都合のいい高さだといっているのだ。色香を放つ静代のセクシーな肢体を目の前にしても、ペニスがいきり立つことがない。これから静代とセックスをするはず、にも関わらず。池村は男の自制心に舌を巻いた。

「うんと肉の詰まったすばらしいヒップです」

 まさに、男のいうとおりだ。熟女らしいウエストの括れから、大きく広がったヒップラインは魅惑的だ。

「肌の質もいい」

 曲線を撫でながら男はしゃがみ、パンティの上から尻に顔を近づける。すんすん鼻を鳴らしてうなずいた。何のにおいに満足したのか独り合点する。やおら手を伸ばし、そろりと脱がしていった。

 まるまるヒップを晒してから、男が横にずれたのはカメラの位置を気にしたせいだ。

 上部の半尻を掴んで、ぐいと押し上げた。

「い、いや」

 弱々しくか細い声だった。切れ込みの陰りが消え、べっこう色の部分が一気に拡散した。まばらな陰毛に囲まれた女性器はわずかに口を開いている。細かな皺に囲まれた、もうひとつの秘部まで丸見えとなる。

 瑞枝の方が肌の色が白いだろう。瑞枝のあの部分はどうなっているのだろう。そんなことも考えた。決して目にするはずのない静代夫人の全てを目の当たりにして、目を疑うほどの淫靡な世界に脳が麻痺しているのかもしれない。

「僕の名をお伝えしていませんでした」

 鼻先が触れるくらい顔を近づけ、力を込めて女性器を押し広げ、「小松田と申します。本日より奥様を担当することとなりました」といった。反対側の鏡に映る静代が恥じらいを見せた。

「共に性感をさらに高めていきましょう」

 小松田が唇を押し当てると、「アアッ」と、声をあげ、静代は体をくの字に曲げたまま腰をくねらせた。

 ベッドの下に降り立った小松田は膝を折り、顔を横に倒して、下あごを静代の臀部に押し込んでいる。

 筋肉質の短い指は、双臀をこれでもかと押し広げている。その左右の手が忙しなく動き、静代の最も恥ずかしい部位をターゲットにしている。小松田のあごは、球体の割れ目に添って移動する。

「だ、だめッ、そんな、激しく、舌を動かされたら、困りますッ」

 小松田の股間に変化が起こり始める。彫刻のようなペニスの先端がピクリと震え、徐々に鎌首をもたげていく。その様子がモニターに映し出された。半分ほど勃起させては、やや萎えさせ、再び首をもたげる。ショーとして故意にそうしているのだ。恐ろしい男である。

「そ、そんなとこ、ばかりッ、い、いやッ」

 どれほど経験を積めば、男の機能を制御できるようになるのだろう。想像絶する経験の闇の深さに暗澹とする思いであった。この闇の中に静代と瑞恵がいる。この先、彼女らの人生はどうなるのだ。吉田や児島はどうなる。

 小松田に股間を舐め尽くされ、息も絶え絶えの静代をベッドの中央に引きずった。腰の下に手を入れてグイと持ち上げ、強引に四つん這いの体位にさせた。腕力で押さえつけ、背後に回り込んだ小松田は、静代の太ももを抱きかかえる。すぐさま割れた双臀に顔を押しつけていく。髪を乱す静代は首を仰け反らせ、短い悲鳴を漏らした。

 中腰で背伸びをする小松田の姿は滑稽だが、これも計算に入れているに違いない。美しい人妻が極端に背の低い男にもてあそばれている姿を演出しているのだ。

 両膝をそろえた不安定な躰を揺らめかせ静代は喘ぐ。身につけているセクシーなインナーはそのままで、パンティだけをぺろりと剥いてある。そのパンティは左右の太ももで引っ張られ、千切れそうだ。

 半立ち状態ではあるが巨根であった。体格とのアンバランスさが不気味である。陰毛がないせいでより卑猥に見える。

 臀部で振りまわしていた顔を上げ、手の甲で唇をぬぐう。顔中が静代の体液で光っている。

「ふう、彼らのいうとおりだ。体液がとても美味です。彼らが奥様の肉壺を広げて、何時間でもマン舐めする理由が分かりました。この臭みが彼らを夢中にさせるのでしょう」

 小松田は静代の横に寝転がった。

「奥様の肉壺に納めるための射精棒なのに、ふにゃチンでは無理ですね。では、僕のアナルを」

 犬の格好になり、ぐったりした静代に向かってつるんとした尻を向けたのである。

 小松田は背を反らせ、なおも尻を突きだす。静代はのろのろと起き上がり手を伸ばして薄汚い洞窟を指で触れた。この組織では静代にそんなことまでさせているのだ。あの瑞恵夫人もか……。池村はブルッと首を震わせた。

「うひゃ、そこ、弱いんです僕。にぎってください」

 声を裏返す。静代が何を思っているのか表情からは伺えなかった。乱れた髪を整える間も与えられず、そこを指先でこすりながら、片方の手を伸ばしてペニスをにぎる。

 爪先が洞窟に潜り込むと「ひやぁ」と悲鳴をあげ両脚をぴんと突っ張った。

「もっと奥へ」

 静代は指示どおりにした。爪がどうのこうのいっていたのは、こういう理由だったのだ。

「オっほぅ。では、ぐりぐりしてください」

 いうとおりにすると「いやぁん」と両手で躰を抱きベッドに突っ伏した。滑稽な仕草に寒気がした。

「舐めてくださいッ」

 小松田が吠えた。

 静代の行為が信じられなかった。いわれとおりに、すぐに指を抜いて、唇を押し当てていったのである。小松田の股の間から両腕を差し入れ、両手でペニスを握り、しごき始めた。

「オひぃぃンッ、オひぃぃンッ」

 小松田が咆哮する。

 これほどの美婦人にこんな行為をされたら、本当にこんな声が出てしまうかもしれない。とてもわざとらしく、とは思えなかった。

 静代の口元が大写しになる。明らかに陰で誰かがカメラを操作している。

 小松田の湿り気を帯びたような褐色の空洞を、ピンク色のほっそりした舌が突いている。舌先でチロチロと刺激を与え、にぎったペニスを先端から根元までゆっくりと往復している。片方で睾丸をもみ込みながら。

「ひーン、ひーン」

 癇に障るようなザラザラした小松田の悲鳴に耳を塞ぎたかった。静代の唇がピタリと押し当てられると、「ほぉう!」と声をあげ、背を反らした。

「素晴らしい、素晴らしい、奥様のアナル舐め、気持ちがいい。もっと深く舌入れてください、あとで必ずお返しをしますから」

 静代のあごが大きく動いた。指示どおりそうしたのだろうか。アダルトビデオなどでは珍しい行為ではないが、破廉恥な行為を行っているのは池村の上司である吉田の妻、静代である。厳然たる事実が目の前にある。白く長い指の中でペニスがずんずんと大きくなっていった。

 その過程で、いきなり静代が、弾けるように小松田から身を反らした。

「そ、そんな」

 驚愕の表情。

「まさか、これも」

 セクシーな体勢を崩すのも忘れてつぶやく。ペニスをピクピクさせながら立ち上がる小松田は口元を緩めていた。

「こんどはおしゃぶりで」

 目の前で左右に振ってみせる。体型に不釣り合いなくらい、大きい。

 静代は恐る恐る手を伸ばすが、熱いものに触れてしまったかのように手を引っ込めた。睾丸を手のひらにのせたときと同ように。

「どうしました、ふにゃチンにできて、勃起チンポにはできませんか」

「し、信じられない」

 吐息を漏らし、諦めきったような表情に変わる。

「お口をかぶせなさい」

 今度は強い口調。静代の肩がビクッと震えた。最初のフェラチオですっかり紅が落ちた唇が亀頭に触れると、わざとらしく小松田は歓喜の声をあげた。

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